海の森づくり推進協会ニュース

No15 2003年3月24日

海の森づくり推進協会 事務局

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齊藤理事の投稿です。

エコ・コンブを食べる

 コンブ利用について80すぎの先輩に相談したところ「終戦直後食糧事情が苦しい時、海藻を細かく切ってお米に混ぜていた。海藻をネタにした鮨も売られていた。コンブに何かを添加したトコロテンの様な菓子に人気があった。」との事、昔と同じように食べる為加工できないか実際に海藻入りウドンを製造販売している当会会員三浦市の斉藤(慎)氏と境先生、門脇先生等と「海藻の食品としての利用法について」協議を重ねて、以下結論をみました。

 

1.                        コンブの生食(やわらかい栽培コンブを素材そのままで食べる)

さて 2月27日神奈川県水産総合研究所の御好意で研究所施設内でのテスト用着床ブロックを海中に装着してきました。参加者 斉藤(慎) 竹本 齊藤の3人は研究所手持ち4種と会員の齊藤さんが持ち込んだ火山灰を固化したブロックと、計5種・総数50個程のブロックに齊藤(慎)が2〜3cm育苗させたワカメを移植する為の陸上作業に従事しました。この日研究所で育った「コンブ」をいただきました。

家に帰って「湯通し」をして酢醤油をつけ、生食しました。ワカメより厚いわけですが味は甘く、歯ごたえがありますのでよく噛めて大変美味しく食しました。

 

高知土佐湾の深層水で栽培したコンブは旨みがあるコンブとして地元で喜ばれている(海洋深層水パワー 大野正夫共著)と記載されていますがよく理解出来ました。北洋の2年物のコンブとは違って「生食」して美味な「エココンブの調理法」の研究が利活用として、まずは必要と感じたわけです。さて、両先生は、水産練り製品(かまぼこ、はんぺん、つみれ等)増量剤として利用するのが最適との御意見ですが、「生食」用対策が急がれます。

 

2.                        「生食」用加工法  

 

「生食」する為には

@腐剤を使わぬ「鮮度保持法」の確立

A「生食」素材に適した味付けや調理法

B 幼児・病人・老人等、社会的弱者でも無理なく食べられ、かつ吸収しやすい加工法

C「生食」素材に他の栄養素・食材を添加

などを追求します。

 生食のため コンブ + x ○○コンブ の試作を始めました。

                             コンブ + x = 新機能商品

 

3.                        食品加工用素材製造法

   海藻の食品加工素材とするための加工法として

   @ 粉化   乾いた粉末をつくる西欧の小麦製粉用  200メッシュ位可

   A 石臼式(冷却装置付) 乾いた粉末        1000メッシュ位可

   B 石臼式湿式粉砕(液状化冷凍保存)        1000メッシュ位可

C            湿式ペースト状化(冷凍保存)

等の各種方法を用意することが出来ました。他にも濾過したり煮沸したり目的に応じて使い分けますが、装置代は最高でも400万円以内と安価なものです。但し上記 ABCはすり合わせる加工法で「海藻の細胞膜を破壊する」作用があり、尚且つ摩擦熱による栄養分の劣化を防ぐ特殊加工方法となっています。

 これらの素材を加工するとあらゆる食品に添加ではなく「大量に増量出来る」素材に変わり次項の様な多種の利用法が可能になります。

 

4.食品利用法

  @海藻を主食品素材に→舌触りがプリプリ、ヌルヌルする趣向のある中間食・ダイエット食品。おやつ・菓子類等(前述したトコロテンやゼリーやコンニャク菓子やカロリーメイトのような中間食)他の食材を5%〜10%添加し、海藻90〜95%の海藻主体ダイエット食品になります。

  A海藻を食品増量材に使う→うどんとして小麦に海藻を55%まで混入してもうどんとしての味覚を保ちます。

但し55%以上ですと少しヌルヌルしてくるという事で、現状、斎藤(慎)氏のうどん、商品名『海藻美人』は33%量海藻(のりとワカメ)を使っています。現状では海藻は高いので、原価的に小麦k100円で、海藻はk2400円(平均)となっていますので、価格面ではうどんではなく高価な海藻食品になっています。このように、各種穀物類や肉加工品、パンやソバやラーメン、モチやケーキやアイス等乳化製品までいろいろな物の増量剤として利用します。

  B海藻を添加剤として使用する→他の食材がほとんどでコンブ等海藻を少し添加し差別化している北海道等で売られているものは殆どが、この添加物としての使い方です。

  Cサプリメント

     2項と同じ成分である(ワカメ、コンブ、ノリを粉末にして粒状にしたもの)サプリメントが、一日5g利用で機能性のある栄養の宝庫として、大手薬品メーカーから大変高価なものとして新発売されています。『わずか5gで、従来の素材にない栄養効果が発揮できる』と、『新製品は特殊加工により開発された』と、メーカーでは宣伝しています。この特殊技術とは、海藻の細胞膜を破壊すると言う加工方法で、『栄養成分がおなかの中で効率よく溶出する特殊加工』(大手薬品メーカー宣伝文)と言っています。しかし、私達は同種加工効果のある各種商品を安価に作りますので、いずれ高価なサプリメントは不要となるでしょう。

5.一歩先を行く加工技術で支援します―ペースト加工請負→現地ペースト化

ビタミンB12が『頭が良くなる』『脳のビタミン』『老化の予防』『生活習慣病予防』として話題になり、ビタミン12の含有量が多い“ノリ”や“コンブ”が注目されていますが、ノリやコンブをそのまま食べても分解されにくく、ことに老人には難しいようです。そこで、前記のサプリメントで説明した『細胞膜を破壊する』事が重要なのです。

そこで私たちは、前記3項ABCの細胞破壊装置を安価に提供する事により輸入品に技術力で差別化し、漁家が価格競争を心配しないで、安心して新たな海藻栽培事業に参加できるようにしたいのです。

私たちはとりあえず、海中林を作った漁民や地域から海藻をペースト状に加工する事を請け負い、地元の食材を使って特産品を作ってもらいたいと思います。

近頃各地で小麦粉ではなく“米パン”が製造販売されています。長い間「米粉」微粉砕技術が簡易化されるまではこの“米パン”の技術開発企業が“米の粉化”を請け負って、米パンの普及活動を続けてきました。そこで私たちも農業に習って、塩蔵の海藻をペースト状に受託加工する事を請け負い、地元で大量生産の見通しをつけたところでペースト化技術の移転という2段階方式を提案したいと思います。“粉化”でも良いのですが、例えば“きなこ”は大豆に似せた色をつけた粉が混じっているものが多いと聞いていますが、目で確認できない又前工程として、乾燥・一次破砕工程が必要ですがペースト化は工程数も少ない。加工費は“米パン”の粉化が1kg130円ですので参考にしてはと思います。

6.地域活性化の起爆剤にコンブ利用

   前項「米パン」は農水省で補助金を出して全国で地域活性策として普及につとめている事業です。

  クズ米を粉化し、パンやウドン・スパゲティ・ケーキ・ラーメン等に加工し、“村のパン”として地域特産品として地域ぐるみ地産地消を進め、自治体・病院・福祉施設・学校給食等、公共施設に率先して使い、“村”のものとして住民にも支持されて村おこしの有力事業として推進されています。

 

 一方コンブは地域活性化・村おこしの道具であるばかりでなく、高齢化社会に貢献し地方自治体財政難の折、医療費削減も期待されます機能素材であります海藻のペースト状に加工された製品は、当然のことながら穀物の加工品や“米粉”よりは高価格であってしかるべきだと考えます。

7.栽培海藻の流通価格を一般食品素材価格並みに s―1,000円位

   海藻は元々最高の機能性食品です。

  それがゴミ(廃棄物)並みの低価格  (kg当り50円〜100円)になるとか、逆に宝石並みに高価格(前項Cのサプリメントは3万円以上)になるという極端な数字が耳に入ってくるのは異常です。通常食材として流通している主要農産物のうように、食べ物としての安定した価格帯にできないでしょうか。

   例えば、米や豆や芋等の主要農産物は、市場価格でkg200円〜1000円くらいです。それらが加工された時、10倍位(100g/200円〜1000円くらい)になります。私達の栽培海藻も食品ですから他の主食とあまり差がないkg/1000円前後の食品素材価格が適切と思います。

栽培コンブ等Kg/1000円というのは、松田先生の計算ではコンブ養殖装置として1基200万円かかり、乾物で年4tのコンブが収穫できるということです。原価的にも適当と考えます。

斉藤

 

 

 

3月16日、横浜野島にてアマモの移植作業に参加いたしました!

城ヶ島の水産試験場で育てた苗を1本一本長さを測り、割り箸に付ける作業をしています。その後、水深2〜3mの海底に割り箸ごと砂場に差し込みました。

 

3月22日、夢ワカメワークショップに参加!

昨年、横浜で養殖したわかめを夏場釜石に運び設置しました。今年はその釜石から総合学習でワカメの養殖を取り上げた尾崎小学校の皆さんが横浜に参りました。総合学習で学んだことを発表していただきました。素晴らしい発表でした。

 

 残念ながら横浜のワカメ養殖は25位しか育ちませんでした。