海の森づくり推進協会ニュースNo5 

2002年9月22日

     海の森づくり推進協会 事務局
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海の森づくり推進協会 各理事の活動

松田 恵明代表理事は現在、マレーシア・プトラ大学にて、JICAのマレイシア水産資源・環境研究計画に参加活躍中、11月に長崎、12月の鹿児島県錦江湾にて講習会予定。門脇 秀策理事は長崎での平成14年度第一回日本水産増殖学会で 「浅海養魚場における養殖マコンブの光合成速度」のテーマで発表。

齊藤理事より投稿です。

海藻の利活用と資源循環に対する私見


 以下、コンブ等、海草・海藻の利活用の事例および、海水や海の廃棄物を活用する事で地域循環型社会構築の可能性について記しますので、これからの会運営の為、私見として会員の皆さんに検討をお願いします。

 私たちは、これまでコンブ等を養殖した後に、腐敗させないで活用することでCO2の固定をさせようとして、エコあわびを提案してきました。
  ところが農文協発行による現代農業8月号『海のミネラル力を田畑に』において、海草・海藻を土の上に敷いた状態で腐敗ではなく発酵するということが述べられています。これはコンブの利活用に重要な文献であろうかと思います。

 そこでここ1年位前までの現代農業をひもといて海のミネラルの記事をさがしてみましたので、その骨子を皆さんにご紹介します。

  海藻等を海岸等に打ち捨てておくと腐敗します。腐敗すると病害菌が発生しメタンガスになるわけです。ところが発酵したときは化学農薬と同じように除草・防除・消臭効果や病害菌の抑制や土壌改良・植物の成長促進等様々な働きに変わります。腐敗と発酵では工程も違うまったく別のものになります。ちょっとした違いで発酵と腐敗にわかれま
す。

 私たちはコンブは放置しておくと腐敗すると考えてきましたが、取り扱い方法を間違えなければ、腐敗しないと考えなおすことが必要と考えます。 昔の本では海藻を木の根元や畑に敷いたり、土をかぶせるだけで田畑が変ってくると言います。

  詳細は後日まとめてみますが、有機物をこのように
単に地上に積み置く・敷きしめる事で堆肥を使うより、フカフカの土壌『土ごと発酵』すると言うことが、ここ数年何人かの学者や農業関係者等からも発表されているのですが、有機物のなかでもことに海藻を『乾かして』使うと最もよい効果が得られるようです。
  但しこの『土ごと発酵』は現状では、農水省をはじめなかなか一般の認めるところとはなっていません。


 しかし、コンブ等海藻の利活用(飼・肥料)のために特別な機械や装置をひとつも必要としないで堆肥より良い有機肥料や有機農薬が簡単に安くつくれるのであればこれにこした利活用は考えられないでしょう。

 そこで当協会の先生方や農家等が協力し

@そうしたことを理論的・学術的に証明して頂く
Aそうした証明された研究内容を広報し普及させる

事が、できれば海と陸をつなぐことが可能になり、私たち協会の運動は楽しく、そして大いに発展することになるでしょう。

 そこで、これまで私が見聞した事を書いてみます

 1.ある町の研究者は、土の中に堆肥等有機物を入れる従来農法ですとメタン(CH4)ガスが発生し、土の上に並べて発酵させる新農法はエタン(C2H4)発酵といい、無害であり尚かつ大幅な増収、高品質になると主張しています。

 .この地上に有機物を積み上げるという方式は森林方式といって、植林の関係者が非常に注目しているのですが、『論文よりも実験をしなさい』と提唱者である北大の教授が論文を書いてくれません。しかし、実際に北海道や砂漠等でこの理論の下に大規模な植林が進められています。この森林方式を応用したものとして農文協のいう「土ごと発酵」があります。

 3.この植林に際し、ポット植林法という新技術も関係しており、そのポット製造に対して各種バイオマス技術が開発されようとしているところです。
 4.この『土ごと発酵』方式は堆肥を作るコンポストを必要としない堆肥製造法としても注目されていますし、また、不耕起栽培や省力栽培であり、無農薬栽培として農業革命を起こすと言う人もいます。

 こうしたことが理論的に証明されれば、コンブ等海藻ミネラルや海水や魚腸骨、貝殻等の陸圏への物質循環として、無限に近い需要が見込まれます。
 但し、海のミネラルには生物の必須元素として鉄分が不足しています。その不足する鉄分をもっとも大量に含んでいる土・土壌・岩・岩石から取ったミネラルを境先生はわざわざ海に使って鉄を補強しておられるわけで、そのため常識をこえた海藻や貝や魚の養殖に好成績をあげているわけです。このような循環を実際の活動として行われている境先生の天才ぶりに改めて尊敬の念を禁じえないものです。

 この循環の思想が当協会の根本的な主張であるということを多くの先生方に証明していただき、会員の皆さんにご理解いただければと思います。
 なお、この積み上げ方式で、安全な食品が生産されることになり、3高(高収益・高品質・高収穫)が可能となるものですので、ぜひ皆様にPRすべきものと考えております。また50年前までは海藻の肥料化は日本はもとより欧米で盛んに行われ場所によっては40%以上を占めているところもあり、いま日本では北欧か輸入している状況で、現地では肥料原料(海藻)を養殖しているという記事が載っています。

 まさにコンブ養殖は格好の肥料原料の供給産業と考えるべきではないでしょうか。行政や農業、漁業、消費者の良識がためされる内容といえるでしょう。
なお、別紙は土ごと発酵の資材として製品化されたものの説明ですのでご覧ください。実際にはそれほど難しいことではなく、海藻が土ごと発酵の資材になると理解していますが、前工程でとことん使い切っていて、カスが資材となっていますので参考になると思います。